哺乳類の目名にはカナ表記と漢字表記の2種類があり、動物資料を見る人に混乱を招いています。
そこで、哺乳類における目のカナ表記と漢字表記の変換表を作るとともに、このような事態が生まれた経緯も説明していきます。
なぜ哺乳類の目名はカナ表記と漢字表記があるのか
西洋文化をどんどん取り入れていった明治時代以降、動物の分類も、学名をもとに漢字表記することになりました。
霊長目や食肉目などは、このときに決められたものです。
ゾウの長鼻目、コウモリの翼手目などは分かりやすいのですが、アリクイとナマケモノが含まれる有毛目やツパイという小型哺乳類の登木目などは、毛のある哺乳類も木を登る哺乳類も多数いるため、漢字の表記だけでは意味が通じず、動物の専門家以外にはイマイチ浸透しなかったようです。
そこで文部省は、1988年に目以下の名前をカナ書きにする方針を決め、霊長類はサル目、食肉目はネコ目となります。
これなら、確かに一目で何の動物を示しているのか分かります。
漢字表記の目には意味が分かりづらいものも多く、例えば『最も優れているもの』を意味する霊長なんて言葉は一般的ではないですし、そもそも霊長類が他の動物より優れているかも疑わしい話です。
ただ、この改定が新たな混乱を招いてしまいます。
ネコ目に改められた食肉目は、イヌ目ではダメなのかという疑問が生じ、目によっては特定の種の名前をつけることが適切でないと考える学者も多くいたそうです。
実際に有毛目は、アリクイとナマケモノのどちらに優位性があるのか分からないので、カナ書きではアリクイナマケモノ目となるそうですが、そんな呼び方をしている人は見たことがありません。
そんなこんなで、現在でも目の名前はカナ表記と漢字表記が混在する状況となっているわけです。
哺乳類における目のカナ表記と漢字表記
| 学名 | カナ表記 | 漢字表記(読み方) |
|---|---|---|
| 単孔類 | ||
| Monotremata | カモノハシ目 | 単孔目(たんこうもく) |
| 有袋類 | ||
| Didelphimorphia | オポッサム目 | - |
| Paucituberculata | ケノレステス目 | 少丘歯目(しょうきゅうしもく) |
| Microbiotheria | ミクロビオテリウム目 | - |
| Notoryctemorphia | フクロモグラ目 | - |
| Peramelemorphia | バンディクート目 | - |
| Dasyuromorphia | フクロネコ目 | - |
| Diprotodontia | カンガルー目 | 双前歯目(そうぜんしもく) |
| アフリカ獣類 | ||
| Tubulidentata | ツチブタ目 | 管歯目(かんしもく) |
| Macroscelidea | ハネジネズミ目 | 長脚目(ちょうきょくもく) |
| Afrosoricida | アフリカトガリネズミ目 | 阿弗利加尖鼠目(あふりかとがりねずみもく) |
| Proboscidea | ゾウ目 | 長鼻目(ちょうびもく) |
| Sirenia | ジュゴン目 | 海牛目(かいぎゅうもく) |
| Hyracoidea | イワダヌキ目 | 岩狸目(いわだぬきもく) |
| 異節類 | ||
| Pilosa | アリクイナマケモノ目 | 有毛目(ゆうもうもく) |
| Cingulata | アルマジロ目 | 被甲目(ひこうもく) |
| 真主齧類 | ||
| Rodents | ネズミ目 | 齧歯目(げっしもく) |
| Lagomorphs | ウサギ目 | 兎形目(とけいもく) |
| 真主獣類 | ||
| Primates | サル目 | 霊長目(れいちょうもく) |
| Dermoptera | ヒヨケザル目 | 皮翼目(ひよくもく) |
| Scandentians | ツパイ目 | 登木目(とうぼくもく) |
| ローラシア獣類 | ||
| Eulipotyphla | ? | 真無盲腸目(しんむもうちょうもく) |
| Chiroptera | コウモリ目 | 翼手目(よくしゅもく) |
| Perissodactyla | ウマ目 | 奇蹄目(きていもく) |
| Cetartiodactyla | クジラウシ目 | 鯨偶蹄目(くじらぐうていもく) |
| Carnivora | ネコ目 | 食肉目(しょくにくもく) |
| Pholidota | センザンコウ目 | 鱗甲目(りんこうもく) |
※モグラなどが含まれる真無盲腸目のカナ表記は、モグラ目でもいいのかもしれませんが、かつて食虫目と呼ばれていたモグラ目の分類が何度も変わった経緯があるため、モグラ目では最新分類での意味が通じなくなるケースがあり、カナ表記の名前は定まっていません。
漢字表記の定まっていない目の漢字表記を考えてみる
日本哺乳類学会・目名問題検討作業部会は、哺乳類の目表記を漢字に統一すべきと主張しているらしいので、一部漢字表記の定まっていない有袋類の漢字表記を学名から考えてみます。
Didelphimorphia(オポッサム目)は、2つの子宮(あるいは袋)がある形という意味なので、双子宮形目あるいは双袋形目。
Microbiotheria(ミクロビオテリウム目)は、小さい野生動物という意味なので小動物目としますが、かなり微妙な名前です。
Notoryctemorphia(フクロモグラ目)は、南の穴を掘る者の形という意味なので南穴掘形目とします。
Peramelemorphia(バンディクート目)は、袋を持ったアナグマの形という意味なので袋穴熊形目となりますが、バンディクートをフクロアナグマと呼ぶことが一般的でないにも関わらず、他の哺乳類の名前を目名に入れることは余計な混乱を招くかもしれません。
Dasyuromorphia(フクロネコ目)は、毛深い形という意味なので剛毛形目となりますが、単純に袋猫目のほうが分かりやすそうです。
漢字と言えば中国語なので、中国語でこれらの有袋類が何と呼ばれているのかも調べてみました。
オポッサム目は『負鼠目』で、日本において負という漢字は負けるというイメージが強いですが、“負う”という意味もあるので、背中に子どもを背負うことで知られるオポッサムに使われているようです。(鼠はネズミ)
ミクロビオテリウム目は『微獸目』で、これは学名通りで私が考えた小動物目より遥かに良いネーミングと思います。(;^_^A
フクロモグラ目『袋鼹目』で、完全にそのままの意味です。(鼹はモグラの意味)
バンディクート目は『袋狸目』で、中国語では狸(タヌキ)という漢字をヤマネコやジャコウネコ、キツネなどにも使用するようですが、学名にあるアナグマとは意味合いに少しズレがあるように感じます。(中国語でタヌキは狢と書くらしい)
中国語でアナグマは“獾”という漢字が使われるので、本来なら袋獾目のほうが良さそうですが、タスマニアデビルのことを袋獾と呼ぶため使用できなかったのかもしれません。
フクロネコ目は『袋鼬目』で、猫ではなくイタチを意味する“鼬”という漢字が使用されています。
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