クマの被害で死者数が増えた理由は人間の弱体化か?

哺乳類
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前々回の記事で、クマの被害について過剰報道になっているのではないかと疑問を呈しましたが、その後、10月の1ヶ月だけで7人がクマ(ツキノワグマ)の被害により死亡し、死者数は7ヶ月分だけで過去最高の年を既に超える状況となっています。(クマは冬眠するので冬季のクマ被害は激減するが)
このような事態を受け、クマ対策に自衛隊が派遣されるなど、私が記事を書いてから僅かな期間で状況が変わってきており、補足が必要になってきました。

データで見るツキノワグマとヒグマの危険性比較
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まずクマによる被害件数についてですが、過去最高だった2023年度の4月から9月までが105件(109人)だったのに対し、2025年度は同じ期間で99件(108人)と同レベルの水準となっています。
しかし、2023年にクマ被害について、ここまで過剰な報道はなかったですし、自衛隊の派遣もありませんでした。
やはり今年のクマ被害について人々が過剰に反応している原因は、死者数の増加にあるようです。
ですので、これからは先はクマの被害で死者数が増えたことを中心に話を進めていきます。

ーーー

現在、様々なメディアがクマの特集をしており、

クマが凶暴化している
人間を恐れなくなった
人間の味を覚えた

などといった意見が取り沙汰されています。
ただ、人が死亡するような危害を加えたクマは基本的に全て駆除されていますし、クマ全体が人の味を覚え凶暴化するようなことも考えづらい話です。
そもそも短い期間でクマの生態が劇的に変わることなどあり得ません。
こういった報道は、人の目を引くために科学的な事実を無視したフェイクニュースに近いものと言えます。

では、クマによる死亡事故が増えた原因はどこにあるのでしょうか?
まず、クマの被害にはデータ上の問題があることを伝えなければなりません。
クマの被害で亡くなる人は年に2人程度しかいないので、少しの増加がものすごく増えたように感じてしまうのです。
2005年にJR福知山線で脱線事故が起き107名の人が死亡しましたが、この影響で2005年は電車事故による死亡件数が爆発的に増加しています。
かといって電車が危険になったわけではなく、クマの被害データもこういった爆発的な増加を示す数値が出てきやすい環境にあるのです。

もう少し明確な要因を考えてみます。
クマは山に生息し、人の生活圏に現れたとしても山間部の近くです。
このことに異論はないと思います。
そして、現在の日本で山間部に近い場所は高齢化が顕著に進んでいます。
このことにも異論はないでしょう。
つまり、クマに襲われる人の平均年齢がどんどん上がり、襲われた際に亡くなってしまう確率が上がっている可能性があるわけです。
環境省が発表するクマ被害の報告に被害者の年齢までは書かれていなかったので明確なことは言えませんが、山間部における顕著な高齢化も、クマによる死亡事故が増加する要因におそらくなっているものと思われます。
となると、クマが凶暴化したのではなく人が弱体化したということで、クマ側の問題をいくら考えても意味はなくなります。
現状、メディアのほとんどが、今年のクマ被害増加を襲うクマ側に変化が起きたと想定して問題を扱っていますが、襲われる人間側に変化が起きている可能性もあるわけです。
もちろん、これは1つの要因にすぎず、クマ側にも何らかの問題があるのでしょう。
しかし、クマ側の問題として提示されるものは不確かであるのに対し、山間部における顕著な高齢化という人間の弱体化は明確な事実と言えます。

クマの被害に関することで、もう1つ明確なことがあります。
それは、ここ数十年にわたり人間の子どもが死亡する事故が起きていないということです。
被害者の年齢は公表されていないのですが、子供が亡くなるような被害があれば当然大きく報道されるはずです。
しかし、クマによる子どもの死亡事故が起きたという記憶はないですし、インターネットで調べてもそういった類の情報は出てきません。
ですので、クマによる子供の死亡事故は長らく起きていないと、ほぼ100%断定することができます。
クマが人間の子供を選別して襲わないということは考えづらいので、このことは人間側に何らかの要因があると思われます。
クマが現れるような山間部は、高齢化と共に少子化も顕著で子供の数が減っていることも大きな要因なのでしょうが、その点を踏まえても数十年単位で子供の死亡事故が起きないことは不可解です。
おそらく、子供は無意識的にクマの対策を十分にしているのでしょう。
例えば、クマが現れたという情報があれば、小学校で集団下校をするなどといった対策をしているはずですし、家をむやみに出ないようにと大人から子供へ注意がされるはずです。
こういったわかりやすい対策が、クマの被害で子供が亡くならない大きな要因になっていると思われます。
言い換えれば、気をつければクマの死亡事故は防げるということです。
もちろん、仕事や生活があるので100%の対策はできないでしょうが、少なくとも死亡事故の数を減らす対策は、ハンターや自衛隊に頼らなくとも十分に可能と考えられます。

いずれにせよ、クマの被害や行動についてはもう少し冷静にデータを分析する必要があり、過剰な報道も控えるべきかと思います。

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